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金融出身でないからこそ生まれた新たな仕組み

更新日:17 時間前


メッシュウェル

今回のインタビューは、2019年にサービスをローンチし、金融業界に新しい仕組みを生み出した、ファンズ株式会社 採用人事の市丸 琴絵様に取材をさせていただきました。


プロフィール:

2014年に大型商業施設専門のディベロッパーであるイオンモール(株)へ新卒入社し、商業施設のテナント管理やマーケティングなどを担当。2018年に(株)リクルートに転職し、人材紹介事業において企業の採用支援や個人の転職支援に従事。2023年にファンズへ参画。


目次



 

まずは会社概要とサービス内容を教えていただいてもよろしいでしょうか。

当社は2016年に創業したスタートアップで、2019年にFundsというサービスの提供を開始しました。​​Fundsは、企業が事業資金調達のために組成したファンドに、個人が1円単位、手数料無料(※1)で投資できる資産運用サービスです。ファンドにはあらかじめ利回りと運用期間が設定されていて、運用期間後、予定通り償還されれば元本と予定された配当が返ってくるため、お客様は投資をしたらあとは待つだけ。株や投資信託のように相場による値動きもないので、毎日株価をチェックしてハラハラしたりすることもありません。

※1 ご利用の金融機関からFundsデポジット口座に送金する際の振込手数料が発生する場合があります。



Fundsのサービスはどのようなユーザーに対して、どのような価値を提供しているのでしょうか?

資金調達をしたい企業と資産運用したい個人それぞれに価値を提供しています。企業への提供価値としては、主に「成長資金の供給」という点です。私たちのクライアント企業は、約8割が上場企業です。上場企業なら銀行でもお金を借りられるのでは?とみなさん思いますよね。
ただ、銀行融資では「資金の使い道」にも厳格な基準が設けられています。企業が使うお金には、「運転資金」と「成長資金」があり、「運転資金」については銀行からの借り入れで十分なケースが多いです。一方で、実績のない新規事業への資金をはじめ、資金使途や返済原資がまだ明確に定まっていない「成長資金」については、銀行の基準では十分に借りられない場合があります。そういった成長資金ニーズをFundsが提供しています。



上場企業にとっても、Fundsを介することでイノベーションを生むような新規事業に取り組みやすくなるということでしょうか?

まさにその通りです。私たちが支援している企業の多くは、上場企業の中でも時価総額500億円以下の企業が中心であり、いわゆる上場スタートアップにあたる企業が多いです。有望な上場スタートアップも多く、大きなポテンシャルがある一方で、上場後の資金供給はマーケットの構造上途端に手薄になります。
上場した後に銀行からお金を借りようとしても、過去の実績のない新規事業をはじめとする成長資金は、銀行の融資基準からこぼれてしまいがちです。
成長するポテンシャルはすごくあるのに、十分な資金が供給されていないために成長が限定的になっている、そういった会社をもっと応援することができれば、その会社も、ひいては日本全体ももっと元気になるはずです。こうしたところを我々が担っていきたいと考えています。


個人への提供価値はどのようなものでしょうか?

個人への提供価値は、投資初心者の方にも使っていただきやすい商品性にあると思います。日本人の家計資産の多くの置き場所となっている預金はほぼリターンがありません。一方、株や投資信託は、一定のリターンが期待できるものの、相応のリスクも伴います。
そんな中、個人の方からは「値動きでハラハラするのが嫌だ」「損をするのが怖い」「もっと安心して投資できる商品がないのか」という声が多くありました。
そこで、固定利回り型(年利1~3%)(※2)で価格変動がなく、借り手の約8割が上場企業という、不安や悩みを解決しつつ安心して資産運用ができる、今までになかった分野をFundsで実現しました。また、公開するファンドの中には、ホテルの宿泊割引券や食品などがもらえる優待付きのファンドがあり、分配金としてのリターンに加えてこういった特典が楽しめるのも、投資に面白さや楽しさを感じていただけるFundsの魅力の一つです。(※3)

※2「固定利回り」とは、貸付ファンドの予定利回りが募集時にあらかじめ定められていることを意味し、利回りを確約するものではありません。

※3 一部優待がないファンドもあります。



この様なビジネスモデルは今までにあったのでしょうか?

仕組み自体はありましたが、何かしらの理由で銀行からの借り入れが難しい企業に対し高利でお金を貸し、高い利回りを提供するハイリスクハイリターンの商品を扱うサービスが多く、我々のように1〜3%程の利回りで、主に上場企業を対象にして展開しているサービスはなかったと思います。


 

藤田社長からもコメントをいただいております。



藤田社長がどの様な経緯を経てサービスを立ち上げたかお伺いしてもよろしいでしょうか?

新卒でサイバーエージェントに入り、その後、友人と起業してWeb制作の仕事を始めました。私が起業した当時のWeb業界はすでにレッドオーシャンであり、5〜6年程事業を続けたのちに上場企業へ売却。一方、同じ時期に起業したゲーム会社やSNSの会社はすごく伸びていたのを見て、起業で大事なことは「どんな事業をどのタイミングでやるか」だと感じたため、「思いつき」で事業を決めるのではなく、成長市場に良いタイミングで参入できるよう、まずはマーケット選定から始めることにしました。
新しいビジネスの動向を日々見ていくなかで、アメリカでは「クラウドレンディング(※4)」というものが盛り上がっているという記事を見かけ、最初は「おもしろそうだな」と思ったものの、金融なんてよくわからないので、それを事業にしようとは考えていませんでした。
ちょうどその時、知り合いから、「似たような金融サービスをやろうとしているので、マーケティング部分を手伝ってくれないか?」という話があり、その会社に入社して金融のことを学びました。金融業界のビジネスを学んで行く中で、のちに共同創業者となる柴田陽と共通の知人を通じて出会い意気投合し、その日の夜に御礼とともに事業計画をまとめて柴田にメールしたところ、その日に共同創業することが決まったのです。
しかし、このビジネスは金融業のライセンスが必要であり、取得には時間がかかります。そのため、ライセンス取得するまでの間に、個人投資家とのリレーション作りや情報収集のために、個人間の金融サイトを比較するメディア「クラウドポート」を立ち上げ、ライセンス取得後、満を持して現在の形になりました。

※4 クラウドレンディング:多様な人々が資金を必要とする企業に対し、融資という形で資金提供に参加できる仕組みのこと。



「クラウドポート」についても詳しくお聞きできますか?

ライセンスの取得には時間がかかるし、ハードルも高いので、まずは「メディア事業」から始めることにしました。当時は「事業者向け融資のクラウドレンディングサービス」が多く立ち上がっているタイミングでしたので、「それらを比較するサイトがあったらニーズがあるだろう」と思い、「比較サイト」の運営に乗り出しました。


ライセンスの取得まで2年を要したと伺いましたが、焦りや不安はありましたか?

いま振り返るとここがいちばんのハードシングスでした。当社では「第二種金融商品取引業」というライセンスを必要としていましたが、そのためにはまず事業の概要書を持って所管する役所に説明に行きます。そこで「ここはどういう意味ですか?」などの質問を受け、私たちはそれに対する回答を文章で返すわけです。すると、さらにそれへの返信が返ってきます。
1回のやり取りで約1ヶ月かかるような状態です。金融業はお客さまの大事なお金を預かる、とても責任重大な仕事であるため、役所側も疑問点は残さず丁寧に確認作業を行うことは当然のこと。ただ、想像以上の時間と労力がかかるもので、自分たちだけで対処できる問題ではないのでとても大変でした。
加えて、お金の問題がありました。
ライセンスを取得するためには、しっかりとした体制の整備が求められるため、十分な売上が立つ前から専門人材を採用しないといけません。当時は調達したお金だけが頼りでした。出資してくれたVCや応援してくれる人たちを絶対に裏切るわけにはいかないプレッシャーもありました。社員の前では平気な顔をしつつ、内心は自分でも「本当にライセンスは取れるのかな...」と不安でいっぱいでした。


Fundsを始めたころはサービスのニーズに懐疑的な声もとても多かったようですが、そのようなご状況からどうやって皆様からの支持を獲得されていったのでしょうか?

何か1つのターニングポイントがあったわけではありません。
地道な営業活動により徐々に募集額が増え、それにより誰もが名前を知っているような企業がFundsを使ってくれるようになり、その先に大手金融機関との販売連携がスタートし…といった具合に、1つ1つの実績の積み重ねにより共感や賛同をしてくれる方がだんだんと増えていきました。こうしてサービスとしての実現可能性が高まっていきましたね。


 

また、市丸様にお話をお伺いしていきます。



社員の方から見た藤田社長のお人柄はどのようなものですか?普段どんなコミュニケーションを取られていますか?

藤田は、誰に対しても非常に誠実でフラットな人です。社員に対しても、「社長だから偉いとかじゃなくて、社長という「役割」なのだから、壁を感じずに必要なことは自分にも言ってほしい」というメッセージを常々話してます。
言葉だけでなく、日頃のコミュニケーションの中でも、職階や職種に関係なく、社員にもリスペクトを持ってくれていることを感じます。


社長も含め金融のバックグラウンドを持ってない方が貴社にいると伺っています。こういった方々はどこで活躍しているのか、どういったところでバリューを発揮されてるのか教えてください。

金融/非金融関係なく、経営・リーガル・マーケティング・エンジニアリング等、多くのメンバーが、そのドメインの専門性によって活躍をしています。各ドメインに精通したメンバー同士が叡智を集結させることにより、スピード感を持ったサービス価値の向上や新たなアイディアの具現化が実現できており、これこそが組織の強みであるとも感じています。
また、異なる観点として、金融ではないバックグラウンドを持っているからこそ新しいアイディアや仕組みが生まれることも多く、そういった点でもバリューを発揮していると思います。
「金融業界では当たり前」の価値観や考え方にとらわれない人たちがいるからこそ新しい価値が生まれるわけです。基幹事業であるFundsも、サービス開始当初、金融業界に精通している方々からは「本当にそこにニーズはあるのか?」と懐疑的な声も多かったと聞いています。
Fundsだけでなく、現在ではFundsで培ったノウハウやアセットを活用した新しい取り組みが起案されるシーンが多々ありますが、例えば金融×不動産、金融×メディアなど、非金融の人がいるからこそこういった化学反応が発生しやすいのではないかと思います。


働いている方のご年齢は30代以上が約8割を占めているそうですが、ここに何か意図や具体的な理由があったのでしょうか。

弊社ではまだ新卒採用を行っていません。専門性の高い金融というビジネスドメインにおいて、難易度の高い社会課題と対峙してるので、一定PMFをするまでは相応の専門性や知見を持った方に来ていただくことが必要不可欠でした。
そのため、各領域において、会社が持っている課題感に対して解決策を持っていそうな方を採用していくうちに、必然的に30代以上が多くなったと思います。


フレックスタイム制とリモートワーク制度を導入した背景を聞かせていただけますか?

社員の「自律」を前提として、できるだけ条件に制約されず、パフォーマンスを上げやすい環境を作ることが重要だと考えているからです。
社員それぞれ、子育てをしていたり、自身の望むライフスタイルを実現する中で、各社員が置かれている環境に依存せず、パフォーマンスを発揮するための自由度は必要であると考え、このような制度を採用しています。


社内のコミュニケーションで工夫されてることはありますか?どんなイベントをやっていますか?

実は色々やっていまして、例えば挑戦を応援する風土の醸成や心理的安全性の向上等を目的としてやっていることの一つに「Unipos」というものがあります。これは、社内で「ありがとう」や「これ良かったよ」といった賞賛コメントやエールを送れるサービスで、投稿に対して他のメンバーが拍手のスタンプを押し、その拍手の数に応じてポイントをギフト券に変えることもできます。当社では活用促進のために、Slackと連携したり、Unipos上の投稿を取り上げる表彰コンテンツを行ったりしています。これは社内からも評判のサービスで、こうした称賛行動が部門を横断して盛んに行われています。
また、週に1回、今週あった良いことや新しい発見を5人1組でオンラインでシェアする「Good&New」という取り組みの他、月に1回、会社のラウンジで行うピザパーティーや、四半期に1回のバーベキューやお花見、ビアガーデンなどのイベントもあったりと、色々取り組んでいます。


貴社ではどのような人であれば活躍できますか?

自分で課題を見つけ、解決に向けてリーダーシップをもって動ける方かと思います。当社では抜擢の文化も大切にしており、自ら掲げた旗に対して成果も出せるようになってくると、自ずとキャリアも拓かれていく土壌があると思います。こうしてメンバークラスから取締役となったケースや、ミドルバックのポジションから新規事業の立ち上げメンバーとなったケースもあります。そこに業界バックグラウンド等は一切関係なく、誰にでも十分に活躍できる可能性が広がっています。
自分次第で、自らキャリアの舵を握ることができるのがファンズの魅力の1つであると考えており、そこに価値を感じていただける人を当社も期待しています。



貴社にマッチする人はどのような人ですか?

当社のバリューに共感し、体現できる方はやはりマッチ度合は高く、ご入社後も活躍されるケースが多いです。
自分の範囲だけに囚われず、他の領域への興味関心やリスペクトを持てる方、他者の挑戦を心から応援できる方、そのような方々がフィットすると思います。また、「コンプライアンスファースト」というバリューにも表れている通り、高い倫理観を持ち、誠実に信頼を積み重ねることができる人かという点は非常に大切にしているポイントです。


最後に、ファンズ様の今後のご展望を教えてください!

1つは、創業事業である『Funds』の事業運営を通じて培ったアセットやノウハウを活用した新しいビジネスの展開を始めています。この直近事例として、不動産事業を展開する『ファンズ不動産(株)』、ベンチャーデット事業を展開する『Funds Startups(株)』と、子会社を2社立ち上げています。
もう1つは海外展開です。現在は日本の個人投資家の方から資金を集め、Fundsを介して国内の企業へ貸付をしていますが、今後は海外の企業にも貸付ができる仕組みを作りたいと思っています。世界的に見ると調達コストが低く、経済合理性が高い日本のマーケット特性を生かし、Fundsが介在することで世界的なお金の偏在性を埋めていきたいと考えています。


市丸様、ありがとうございました!

 

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