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CFOになるということ

更新日:10月18日



今回のインタビューは、2021年に東証一部上場を果たした株式会社マネーフォワード取締役 グループ執行役員CFOの金坂直哉様。

 

金坂様がどのようにしてCFOという役職に就任するに至ったのか、キャリアのどの行動や考えが、ターニングポイントとなったのか、本記事ではインタビューを通して見えてきた、「金坂様がCFOになるまでのターニングポイント」を解き明かす。


プロフィール:

2007年に新卒でゴールドマン・サックス証券に入社。投資銀行部門にてM&Aや資金調達のアドバイザリーに携わり、7年半勤務。2014年、株式会社マネーフォワードに転職。そして、株式会社マネーフォワードのCFOとして同社の上場を成功させた人物だ。



目次:


 

マネーフォワード 金坂様

まずは金坂様の経歴について教えていただけますでしょうか?

2007年に社会人になり、そこから7年半、2014年までゴールドマン・サックスという証券会社にいました。そこでは M&Aや投資を担当しており、2014年からマネーフォワードにジョインしました。


マネーフォワードにご入社された当時はCFOというお立場ではなかったかと思いますが、当日の業務内容やCFOになられた経緯はどのようなものでしたか?

マネーフォワードは2017年に上場したのですが、それまでは資本/資金調達であったり、エクイティファイナンスと借り入れのファイナンス、あとはIPOの準備がメインでしたね。マネーフォワードの場合は金融機関様との資本業務提携というかたちでのエクイティファイナンスが多かったので、事業アライアンスも含めてやっていました。
上場後は、業務内容がどうしても増えるので、経営企画周り、具体的にはIR周り、あとM&Aですね、そういったところも担当しています。CFO候補として入社をしているので、業務をしていく中で、上場前にCFOになったという流れでしたね。


ご入社される前と後のギャップとかってそこにございましたか。

そこはそんなになかったですね。組織が出来上がっていると思って入ったわけではなかったので、思っていた通りにカオスでした。変わったものといえば、働き方や時間はギャップがあったかもしれません。転職前も結構働いていましたけど、転職後も結構働きましたね。今は流石にちょっと落ち着いて、週末に働くこともだいぶ減りました。創業直後でしたし、毎週土曜日午前中に経営会議をやっていました。


転職は大きな決断だったと思いますが、周りの方も結構転職される方が多かったですか?

その当時はそこまで多く無かったですけど、その後増えましたね。前職の同僚がメルカリやレノバのCFOになったりと。皆さん入社前に結構リサーチをして、慎重に会社選びをされていた印象です。


周りでCFOになられる方が増えたんですね。

そうですね。IBD(投資銀行部門)からCFOは増えたんじゃないでしょうか。資金調達するタイミングで上場も見据えてというような状況が多いと思います。IBDは希望年収が高いですが、ベースは下がるけどSO(ストックオプション)も出るのでトータルで見たら、アップサイドもあるみたいな設計が取れるので、一般的には上場前の方が転職しやすいかなと思いますね。


少し視点が変わるのですが、新卒でゴールドマンサックスにご入社されてからCFOになられるまで、どのような行動や挑戦がポイントだったと思われますか?

私がマネーフォワードに入社したのが創業2年目くらいで、かなり早期にジョインをしたので、とても面白い時期ではありました。そういったタイミングは良かったかなと思います。


転職のタイミングということですか?

実は、あまり転職する気もなかったので、マネーフォワード以外の会社と全く話してなかったのですが、マネーフォワード自体が面白いタイミングだったかなと思いますね。


1社目で働かれている中で、「将来CFOになりたい」なども想いはありましたか?

そうですね、1つの可能性としてはあるかなとは思ってました。20代はとにかく厳しい環境で色んな経験をして、30代でまたゴールドマンサックスに残るのか、何かチャレンジするのか、そこはまた 30代に入る前で考えようかなと思ってました。


マネーフォワードでIPO上場までの渦中にいらっしゃいましたが、その当時「大変だったな」「乗り越えていい経験になったな」と感じることはありますか?

そうですね、やはりIPOとなると、管理部門の強化が非常に重要にります。しかし、私の得意な領域では全くなかったので、その領域を得意としているメンバー、執行役員の坂(グループ執行役員 元COO、以下敬称略)とかですね、そういうメンバーに入ってもらって、彼中心に構築できたっていうのが非常に大きかったかなという風に思いますね。

 

採用や組織構築についてのお話もありましたので、次はその辺りをお伺いしていきます。


マネーフォワード 金坂様


ご入社当時はバックオフィスメンバーもいない状況だったかと思いますが、どう組織を作り上げていったのですか?

2016年の頭くらいに、坂が入社し、彼中心にコーポレート側の採用を強化していき、本当に1人ずつ作り上げていった形ですかね。我々の場合は、例えば法務部門であれば法務部門で、財務、経理もであれば財務、経理部門、それぞれに 責任を持ってる執行役員がいるので、そういった非常に専門性があって、かつチームビルディングできるメンバーが入ってくれたのは大きかったですね。


我々も人材支援をしているので日々、優秀な方々って採用難しいなと感じるのですが、当時はどのような採用活動をされていたのですか?

結果的に今、その財務経理の執行役員と坂は、2人とも辻(現:代表取締役社長、以下敬称略)の昔からの知り合いで、本当にずっと声掛けをしていて、いい時期に入社してくれたという感じですね。


これまで数多くの方々と働いてこられと思いますが、CFO候補となるメンバーにどういう教育をされてこられたのでしょうか?

そうですね、やっぱり意思決定のプロセスを、その社長だったり私の意思決定のプロセスをちゃんと一緒に経験するということですかね。どういう情報を集めて、どう意思決定してるかみたいなところをこう何年も一緒にやってもらっていました。

 

ありがとうございます。転職、組織構築、IPOを経て

そんな金坂様がお考えになるCFOについてお伺いしていきたいと思います。


金坂様にとってCFOとして働く魅力はなんでしょう?

魅力。そうですね、特に上場会社 ですと、本市場の評価っていうのも日々変動したり、そもそも世の中も日々大きく変わる中で、大きな意思決定に、 M&Aであったり会社の投資の方向性とか、そういった大きな意思決定に関わって責任を持ってやっていくっていうところですかね。


CFOとして、成果を残すための必要なスキルや経験、重要なポイントはどういうものだとお考えですか?

会社が成功するかどうかということと基本的にイコールかなと思っているので、会社が成功するために必要なことを先回りして考えて実行していく。そして、そのために、経営・コーポレートチームいずれも、チームビルディングをしていくことが重要かなと思いますね。


その経営という目線って結構なんでしょう。その、一般的な大企業で働かれてる方とか、そういった環境におられる方だと、なかなかつかないというか。金坂様のご経験でも良いのですが、どのようなタイミングでついたなと思われますか?

そうですね。大企業で働いたことはないので、ちょっとわからないんですが、前職自体で言うと、投資(プライベートエクリティ)の業務をしていたので、投資先の会社の意思決定に深く関わっていた経験が非常に多かったかなと思いますし。
マネーフォワードでは10年間、日々経営チームとして色々な意思決定をしてきましたがうまくいったこと、いかなかったこと、本当色々ありました。しかし、とにかく意思決定を重ねて、その結果どうなったかを反芻し続けることが、経営目線の経験を積むことかなと思っています。


お話いただける範囲で上手くいかなかったことはどのようなことがありましたか?

すごく大きな話はないんですが、当然、やっぱ採用とかは上手くいくかなと思って採用したものの上手くフィットしなかったりとか、あと新規事業も上手くいくと思ってスタートしたもの上手くいかなかったりみたいなことは当然あるので、そこを振り返って、当然、採用も新規事業も日々やっていくわけなので、次にやっていく時に成功確率を上げていくみたいなことが重要かなと思いますね。


会社やフェーズによっても変わるかもしれませんが、CFOに向いている人ってどんな人だとお考えですか?

さっきの話の中でもありましたけど、やっぱ意思決定が結構大事になってくるので。「これとこれとこれの3つのアイデアがありますで終わる人」なのか、「3つのアイデアがあるけど、これにこれがいいと思いますってちゃんと決めれる人」なのか。決め切れるか、意思決定できるか、のマインドが結構大事な気がします。

 

最後に、CFOとしてスタートアップで働くことの魅力や大変さについてお伺いできればと思います。


スタートアップ企業がIPOを目指していく中で、CFOが必要になってくると思いますが、スタートアップとして働く魅力や難しさなどはいかがでしょうか?

難しいですね。スタートアップ企業っていうのは1年間の中でものすごく変化があるので、その変化を楽しめることだったり、あとは資金調達戦略次第で結構会社の方向性だったりやれることが大きく変わるので、事業を成長させるために投資家や銀行から必要な資金を調達して、 それを大きく投資をして事業を伸ばしていくみたいな、ちょっとダイナミックなヒトモノカネ含めて全部調達していくことかなと思いますね。
難しいところは何でしょう。やっぱりスタートアップ企業が全部が全部成功するわけではないのですね。そこだと思いますし、あとは、やっぱり今採用も本当に大変だと思うので、やっぱり優秀な方にどう会社に来てもらって、どう長くやってもらうかってとこはやっぱすごく難しいチャレンジのことだと思いますね。


今、日本のスタートアップ企業だったりとか経済社会において、CFO人材って多いと思いますか?少ないと思いますか?

そうですね。僕はベンチャーキャピタルの事業もやってますが、投資先も含めて色々なスタートアップ企業の方と面会していても、CFOの人材不足を感じている企業は多い印象ですね。


スタートアップ企業様でいくと、社長自身も正解が分かっていなかったりとか、そもそもメンバーが少なかったりとかすると何が正しいんだろうねと、結構模索されて走れると思うんですよね。 だから、そういったところで、CFOの方や将来CFO候補の方が、「こうやろうよ」という意見はどんどん前に出していくべきだと思われますか?

CFOであれば、当然自分の意見は持った方がいいと思いますし、 経営陣でしっかり議論して決めていけばいいのかなと思います。


将来CFOやりたいなぁであったりとか、今実際に目指されてる方だったとか、なんかそういった方々が見ていただいたものなんですけれども。なんかそういった方々に、まず今しておくべきことであったりとかございますか?

まず現職でしっかり頑張ることかなと思います。CFOのあり方も多様性ができていて、投資銀行やコンサルのようなプロフェッショナルファームとか監査法人から直接行くパターンもありますし、どこかの会社でCFOとか社長と一緒に働いてから活躍されるパターンもありますね。実際に元々当社で活躍していたメンバーが今他のスタートアップ企業でCFOをやっているケースもあります。
例えば、メルカリだったりマネーフォワードだったり、そういう会社で 色んな経験をしてからベンチャーのCFOをやっていくと、すごくフィットするとは思うので、 色々ななり方があるかなと思います。で、最後はやっぱりそのCFOになった会社で長く頑張ることかなと思いますね。


将来CFOを目指されてる方々に対して、アドバイスやメッセージをいただけたりしますか?

そうですね、目指すことにもなることにも、そのダウンサイドとかリスクってほとんどないと思うので。ぜひ、目指したいんであればチャレンジしていただけたらなと思います。

金坂様、貴重なお話をありがとうございました。




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