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スタートアップ企業のCFOが目指す日本の未来とは?


メッシュウェル

今回インタビューさせていただいたのはファンズ株式会社(以下、ファンズ)CFO前川寛洋様。大学を中退し、HRスタートアップで執行役員を務めた後、ファンズへ。20代CFOの前川様の経歴や、今後の展望に迫ります。


プロフィール:

HRスタートアップで執行役員を務め、経営戦略、人事、ファイナンスを管掌。現在は、ファンズの取締役CFOとしてコーポレート全般を管掌。2023年12月にFunds Startupsを設立し、同社代表取締役及び、Funds Venture Debt Fund代表パートナーに就任。


目次



 

前川様の自己紹介とご経歴をお願いします。

1996年生まれで、生まれも育ちも大阪出身で大学は関西大学です。大学2年生からいろんな企業でのインターンを始め、大学3年生の秋学期のタイミングで、しっかりアクセルを踏んでいこうと思い、前職であるHRスタートアップ企業にフルコミットをするために大学を1年間休学しました。
その1年間で事業が軌道に乗ってきたことと、マーケットとしても今だ!というタイミングでもありましたので、学位の取得を優先して大学に戻るよりも、一番いい状況で事業に参画する方がいいだろうと考え、大学を中退しました。


大学に進学する意思決定、大学でインターンをする意思決定、そこから大学を中退する意思決定、それぞれどのような気持ちの変化があったのですか?

高校の時は、自分の好きなことをやっていきたいという思いがあり、趣味が車なので、そこに携わる仕事をしたいなと考え、自動車整備士の資格を取得しようと思いました。通っていた高校では、当時半分くらいの学生が専門学校へ進学していたこともあり、専門学校という選択肢がマイノリティではありませんでした。
元々高校時代は、校内での学力が低くはなかったので、時折同級生に勉強を教えたりしていました。しかしある時、自分が教えていた同級生の点数がぐんぐん上がってきて…「負けるか!」という負けず嫌い的なものが出てきたタイミングがあり、本気で勉強をして点数を取るという体験がありました。
いろんなことを徹底的に勉強をして知識が増えると、自分の知らない世界や扉が開いていく過程がおもしろいなと感じて。勉強を通じて選択肢や可能性が広がっていく感覚があった時に、自分の狭い視野だけで将来を選択することがリスキーだと感じて、今後の選択肢を広げるために大学進学を決めました。


大学に入学されてからも積極的にインターンをしたり、一般的な大学生とは意識が違うかなと思うのですが、どのようなことを意識されていたのでしょうか?

元々大学に入学することにさほど興味がなかったことから、入学自体に達成感はなく、、むしろ、可能性や選択肢を広げられる機会がやっと手に入ったぞ!という感覚だったので、ここからどれだけ経験値を積むかしか興味がなかったですね。
このように話すと所謂”意識高い系”とも言われやすいのですが、純粋に「やったことないことをやろう」程度のモチベーションでした。その結果としてインターンに落ち着きましたが、過程では一般的なアルバイトからサークル活動、ボランティア等、たくさんの機会を経験しました。


ビジネスというより将来のために大学生活を過ごした印象ですね!

実はそんなこともなく、楽しむところは楽しんでいました。でも、途中からビジネスに振り向き始めた出来事が…。
インターンに参加する中で、経験として就活イベントに行ったのですが、そこでの書類審査で学歴を主な理由として不合格になる経験をしまして…。そもそも学歴の有用性と就活の仕組みを理解していなかった自分が悪いのですが、それでも自分の価値を証明する前に、ステータスだけで土俵にすら立てないことがあるんだな。とその時に痛感しました。
その経験をもとに、学歴とは全く違う物差しで、徹底的に戦える自分にならないといけない、学歴で足切りした会社を見返すとなると、圧倒的に群を抜いて優秀な自分でなければならないだろうなと思いました。
そこからは、自分にとって居心地の良い経験ではなく、寧ろ自分がその組織において最底辺と思えるような環境に身を置き、徹底的に鍛え上げるという活動を始めました。当時は、インターンや学生といったラベルの言い訳は一切排除し、純粋な価値で社会人を凌駕する成績を出すくらいまで行かないと意味がないと思っていたので、かなり振り切った大学生活をしてました。そこの延長線上で、前職のHRスタートアップが繋がっていきました。


 

ここからは前川様の「今」に迫っていきます!



現在、貴社ではどのような業務を行っているのでしょうか?

CFOとして、経理、総務、労務などの守りの管理部を管轄しつつ、経営企画や人事、採用などの攻めの部門も管轄しています。また、弊社独自の部門にはなりますが、お客様の口座開設業務等のミドルバック業務を担うオペレーション部門も管掌範囲となっています。
「結局CFOって何をする仕事の人なんだっけ?」を考えた時に、狭義だと基本的にはファイナンスすることが一つの役割なのかなと。なので、必要なタイミングで必要な資本を調達していくというところは引き続きやっています。一方で、広義に捉えるとCFOの役割はいかに企業価値を最大化できるかがミッションになってくると思います。
CFOはその企業を誰よりも定量・定性共に把握し、自社の価値を貨幣価値換算し、資本市場のゲームルールにおいて、それを適切なステークホルダーに、適切な形で伝えていくことが求められます。例えば投資家といってもVC、CVC、事業会社、機関投資家、個人投資家等、様々なプレイヤーが存在し、根源的には同じ数式を引用していたとしても、意思決定は異なるロジックを持つものです。したがって、自社の価値を画一的に話すのではなく、それぞれのコンテキストに当てはめて伝えることが重要だと考えています。そしてそれを伝えるだけでなく、実際に自らが企業価値成長の責任者として執行することが求められると考えています。


CFOは定義が難しいところではありますが、その中でも担当されている部門が多岐に渡っている印象を受けますが、いかがですか?

そうですね。見ている範囲で言うと、結構広い方かなとは思いますね。 もちろん1人だけでやれているわけでは全然なくて、管轄自体はやってますが、ディフェンシブな方には執行役員としてコーポレート部長がいますので、どちらかというとコーポレートの中でも、攻めの方に注力できている形です。


「筋肉質」というワードを会社の経営の観点で耳にしますが、具体的にはどのような意味合いを持っているのでしょうか?

ファイナンスの観点から話す「筋肉質」というのは大きく2つの分野があって、1つ目は資本コストという観点の筋肉質ですね。
 例えば、従来スタートアップの中では、調達=エクイティ、エクイティ=VC、といったように画一的な手段のみが講じられ、それ以外の選択肢が十分に比較されないこともあったのですが、本来独立系のVCはアセットクラスの中でも最もハイリスクハイリターンを求めるプレイヤーであり、それなりのサイズかつ高成長が前提とした戦い方でなければ期待リターンをお返しすることはできない。
必ずしもエクイティだけじゃなくて、デットを織り混ぜた方が資本コストは下がるよねとか、最近やっと資本コストの議論が出てきましたよね。我々は、これまで累計約70億円の資金調達を行ってきたスタートアップになりますので、当然様々なステージで、様々な投資目的を持った方々に株主としてご参画いただいています。プレイヤーとしても、VC、CVC、事業会社、金融機関、ファミリーオフィス、国内外の機関投資家等、多種多様な方にご支援いただいています。ゆえに、企業価値最大化(エクイティリターン)を追求するということは前提の上で、どのようなキャピタルアロケーションを行い、結果をお示しすることが最適なのかを十分に検討する必要があると考えています。
2つ目の観点では、社内のお金の使い方(ROI)をどう筋肉化するかという観点。
先ほども少し触れた通り、調達手段によって資本コストは異なります。そのため、調達した資金の資本コストを念頭に置いた上で、戦略的なお金の使い方をしていくことが必要だと考えています。具体的にお話すると、一般的に最も資本コストの高いエクイティで調達した資金は、例えばM&Aや新規事業、海外進出など、企業価値を非連続に高めるような成長投資に充てる。デットの場合はエクイティと比較すると資本コストが小さくなる分、既存事業のリニアな成長のために充てる。そして、事業運営に必要な固定費は、本業が生み出すキャッシュで賄えるようにする。企業経営における「筋肉質化」を目指すには、このような形で資本コストに見合った適切なお金の使い道を考えることがCFOの務めであると考えています。

 

ここから、前川様が考える”CFO”についてお聞きしていきます!



CFOはなかなか定義が難しい中ではありますが、前川様にとってのCFO像をお聞かせいただけますでしょうか?

どれだけ自分の事業を信じられるかという、結局のところここが1番大事かなと思っています。
CFOは投資家にプレゼンするときにエクイティストーリーを作って話をしていくわけですね。どうしてもそこには、将来の不確実性を含むんですよ。「僕らは5年後にこういう姿になります」「こんなリターンをお返しできるかもしれない」という不確実性を、どれだけ投資家に理解と共感をしてもらえるか、自社のバリューを納得してもらえるか、そして投資してもらえるかを語ることになるので、自分たちの将来をいかに強く示すことができるかが1番大事だなと思っています。


ただファイナンスを語れるだけでは難しいんですね。

レイターまできたスタートアップだとしても、ピボットもしますし、状況も変わりますし、マーケットも変わりますし。そうなると、過去にあるものだけで語ることは難しいですよね。自分が事業のことに思いを馳せて、場合によっては自分が企業価値を作る側になって、その中で極めて解像度の高いストーリーを構築して、いかに訴求できるか。ここで差が出てくるのではないかと思います。 


 

スタートアップの魅力や、いい会社の見分け方についても伺っていきます。


スタートアップで働く魅力はどんなことだとお考えですか?

究極的には、やりたいことを素直にできることだと思います。
ある特定の課題を解決する及びその特定の課題解決を1番最短で行おうと思うと、スタートアップというやり方が最も優れてると思います。理由は、ある1点の問題解決のためだけに集めたチームとそこに対して投資をするプレーヤーがいて、その1点突破に全リソースをかけて解決していくというのがスタートアップだからです。 例え資本を持つ大手企業だとしても、内部の様々なジレンマなどを抱えながら取り組んでいる状況があることを考えると、特定の目的に最適化された環境で、その物事に携われることがスタートアップで働く魅力だと考えています。


本気で社会課題に向き合っているスタートアップってどうやって見極めたらいいんでしょうか?

2つありまして、1つ目は「もし自分がこの会社で挑戦するとしたら、この論点はどう考えるんだろう?」と何か疑問に思う点について自問自答してみて、その内容を面接でぶつけてみること。その結果、自分の満足のいく議論やフィードバックを得られるか、という点に注目してみるといいと思います。
例えば、「こっちの領域の方が儲かると思うんですが、なぜわざわざこのプロダクトで戦っているんですか?」とかも1つです。本気で考えている会社であれば、相当の熱量で返ってくるはずです。私自身が候補者の方と面接をするときにも、同等の解像度や熱量で議論ができるかという点を大切にしていますので、候補者の方の立場においても「この会社はどこまで本気で課題に向き合っているのか」を見極めるために、積極的に質問をしていった方がいいと思います。
2つ目は、トップが言っていることとミドルマネジメントが言っていること、そして、現場の実務担当者が言っていることに一貫性があるか否かです。
会社のWILLなのか、代表だけのWILLなのかは大きな違いがあるので、カジュアル面談や社員の人と話すタイミングで「どんな思いで仕事をしていますか?」とか「仕事のやりがいは何ですか?」「どんな達成感を感じていますか?」等を聞いてみるといいと思います。ここでの回答から、会社全体が同じ方向を向いているか、ということが見えてくると思います。

 

ファンズに対する想い、金融業界への改革に迫るーー。



CFOの前川様から見たファンズの魅力とは?

私たちは、「未来の不安に、まだない答えを。」というMissionを掲げていますが、世の中の経済的な不安を解決するということが僕らの使命だと考えています。
老後2,000万円問題と言われ、最近では3,000万円問題、4,000万円問題とも言われ続けています。今後、物価高が続くのであれば、老後の不安を抱えながら生きていかねばならず、これはなかなかストレスフルな人生だと思います。 そうした時に、お金を労働で稼ぐだけではなくて、いかにお金に働いてもらうかを考えられるような世界、個人の資産運用が息をするように当たり前にできている、そんな世界にしていきたいです。そこに我々はチャレンジしている。これこそが魅力であると考えています。
また、対企業目線での魅力も大きいです。「こういうことがやりたい」と思って事業を立ち上げて、企業が大きく育って、ようやく上場しますとなっても、それはまだ「事業として成り立った」というフェーズにすぎず、その会社が掲げたミッションが社会に実装されているかというと、それはまだ先のフェーズです。ミッションの社会実装を実現するためには、何百億、何千億の投資が必要であることが多いですが、上場をすることによって大きな金額を調達できる可能性が広がるため、ここでようやくゲームに参加できる挑戦権を得た、という状態となるような感覚をもっています。
しかし、成長してやっと勝負できるフェーズになって、いざ「調達する」となった際に、現在は調達手段が限定的である、という構造的な課題があります。このような環境において、成長資金という調達マーケットはもっと広がっていくべきですし、ミッションの達成可能性を高めたり、早めていくために必要なガソリン部分である「ファイナンス」に選択肢を提供することは非常に重要であるなと思います。我々はここにもチャレンジしています。
弊社には金融業界出身者も多いですが、既存の金融機関の中で「やりたいけどできなかった」といった思いを抱えた人たちが集結しています。このような側面においても、我々が解決しようとしているテーマの魅力を物語っているのではないかと思っています。

※インタビュー内容は、取材日時点(2024年5月)のものです。


前川様、様々な質問にお答えいただきありがとうございました!

 

20代CFOの前川様が働くファンズの企業情報はこちら。


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