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プロデューサーとしての信念

更新日:10月17日



今回取材をさせていただいたのは、博報堂及び博報堂DYメディアパートナーズ、ドリームインキュベータ(以下、DI)を経て独立した半田勝彦様。半田様が仕事の軸にしている「ビジネスプロデューサー」という仕事に迫る。


プロフィール:

株式会社知開 代表取締役社長

博報堂及び博報堂DYメディアパートナーズ、DIを経て、株式会社知開を設立。博報堂入社前は、エイティーワン・エンタテインメントにて作詞家の秋元康氏に2年間師事。DIでは、執行役員インキュベーション(投資)担当として、主に事業投資先の発掘、投資実行、投資先企業などへのハンズオン支援。その後、執行役員ビジネスプロデュース(コンサル)担当として、通信キャリア、電気メーカー等の事業創造戦略を実現/伴走支援。

現在、DIではフェローとして継続的に活動。また、モブキャストホールディングス取締役も兼務。

 


この記事は前半と後半に分けて配信します。

前半では、半田様がビジネスプロデューサーを志した理由と秋元康氏との出会い、教え、そしてDIへの入社までをお届けします。後半では、半田様が注目する業界・業種、会社の見分け方、日本のスタートアップの将来など、投資家の半田様だからこその観点で語っていただきました。

 


目次:

 

 

まずは、半田様のご経歴から教えてください。

新卒で広告会社の大広に入社をし、博覧会や展示会のイベントプロデュースを4年間やりました。実際に自分で企画したものが形になることがすごく楽しくて、企画を仲間とともに実現していく=プロデューサーなんだ!と発見した4年間でした。
4年経った後、イベントなどの空間だけではなく、インターネットを通じてコンテンツをプロデュース出来たらいいな、と考え始めました。当時、作詞家の秋元康さんが執筆された「さらば、メルセデス」というエッセイを読んで、「もしも秋元さんの元で働くことが出来たら、プロデューサーとして成長できるだろうな」と考え、秋元さんに手紙を書いたんです。「秋元さんのもとで、ビジネスプロデューサーになりたいです。音楽、映画、テレビ番組など、秋元さんのアイデアを実現していきたいです。」という思いを資料にまとめて送りました。
すると、秋元さんの秘書の方からお電話をいただき、当時秋元さんが経営するエイティーワン・エンタテインメントに伺うと....まさかの秋元康さんご本人といきなりお会いすることができました。しかも、「来月から働ける?」と嬉しいお言葉もいただきました。当時はまだ大広に勤めていたので、上司やメンバーに相談して会社を退職し、秋元さんの元で働くことになりました。
その後、博報堂に入社し、博報堂DYメディアパートナーズへの転籍も経験して、計17年ほど博報堂DYグループに在籍しました。その間、東京ガールズコレクションの立ち上げ、プロデュースなどで、社内ベンチャーとして事業創造を行ったりしました。
私自身の仕事の軸である「ビジネスプロデュース」、そして、投資や経営をしていきたいと考えるようになり、全てが揃っていたDIに入社し、6.5年の在籍後、今年の4月に独立しました。

 


「ビジネスプロデューサー」とはどのようなことでしょうか?

DIでは、社会を変えるような事業を創ろうというコンセプトで「ビジネスプロデュース」を行っています。6つのプロセスで構成されたフレームワークを持っています。
1つ目は構想すること、2つ目は戦略、3つ目に仲間作り…と続いていきます。3つ目の仲間作りは、社内だけではなく、社外、企業だけではなくアカデミアなど幅広い人々と手を組みながら、協業していくというものです。4つ目はルール作りで、国の政策と連携を取ったり、場合によっては政策自体を提言していこうという動きをします。国が目指している方向でビジネスを構想していくことで、産業自体を作っていけるのではないか、ビジネスがもっと大きくなっていのではないか、という考えから、ルール作りを重要視しています。5つ目は社内外ドライブ、6つ目が結果を出すということです。3つ目の「仲間作り」と関連しますが、あらゆるコミュニティや組織の中で、仲間を巻き込んで結果を出していくことがビジネスプロデュースの醍醐味だと感じています。
DIに入社してからは、このフレームワークを念頭に置きながらプロジェクトを進めていきました。ただ、DIに入る前の自分独自のビジネスプロデュースは、秋元さんから教わった考えを大切にしながら多くの仲間と関わりながら行ってきたのですが、DIの「ビジネスプロデュース」と近いところもありますが、別のものでもあるなと思います。世の中に「ビジネスプロデュース」という言葉が飛び交うようになりましたので、その定義自体も重要だとは感じています。

 

 

 

秋元康様と働かれていた中で教わったことで、今でも大切にしている考え方やポリシーなどはありますか?



2つありまして、1つは「記憶に残る幕の内弁当はない」という言葉です。
幕の内弁当ってトータルで美味しいけど、「どこどこの幕の内弁当が美味しい」ってあんまり聞いたことがなくて。でも、「どこどこの唐揚げ弁当がうまい」とか、「どこどこのエビフライがうまい」というのは確かに記憶に残るものなのだと。
いわゆる「差別化戦略」ではあるのですが、幕の内弁当のような企画を考えていくと、競争としては他の企業の中に埋もれて終わるので、 いかに記憶に残る唐揚げ弁当を作るのかというところが非常に重要な戦略だと教わりました。私自身、後にDIに入って、改めて秋元さんがおっしゃっていた言葉の深さと重要性を身をもって感じました。
もう1つは、「半田の仕事はカルピスの原液を、カルピスソーダにしたり、カルピスミルクにすることが仕事だ」と言われたことです。
昔は、カルピスは原液で売られていて、水で薄めたり、牛乳を入れたりしていたんですけど、その考えで、秋元さんが「アイデアのもととなるカルピスの原液は俺が作るから、半田は市場を見ながらそれをカルピスソーダにしたり、カルピスミルクにしたり、カルピス飴にしたりプロデュースしていって」と。その言葉が忘れられなくて。 
ビジネスプロデューサーってそういうことなんだろうな、と。市場がどのようなモノを欲しているか、人気が出るかを考えてプロデュースしていく役割なんだと、とても学びになりました。今でも忘れられない言葉として覚えていて、大切にしている考えでもあります。 

 


新卒時代や秋元様の元で働かれていた期間で、多くのプロデュースをされてきたかと思います。半田様にとって、プロデュース業の魅力は、作り上げていく過程ですか?それとも完成物が出来上がった達成感ですか?

これは両方で、1人でプロジェクトを進めることは絶対に無理なので、社内外の仲間と共に推進していくものですよね。このプロセス自体もすごく楽しいですし、 それによって出来上がった時はそれが形になって、実際お客さんが訪れて、お客さんが楽しむ姿を見て、最後は世の中事になって話題になる。この全てにおいて「プロデュースって楽しいな」って感じますね。イベントのプロデュースと「ビジネスプロデュース」は違うものですが、そういう部分では通じるものがあります。


事業投資へ携わるようになった経緯はいかがでしょうか?    

博報堂DYメディアパートナーズで、東京ガールズコレクションを中心としたメディアコンテンツ事業を行う社内ベンチャーのF1メディアという会社を作りました。この時は、事業投資をする立場でもあり、自らが代表取締役として出向するという立場でもありました。この事業投資をしつつ、経営も行うという経験がとてもエキサイティングで、その後博報堂DYメディアパートナーズで投資戦略局という部門でベンチャー投資を行ったりもしました。更に、もう少し視野を広げ専門性を高めたくなり、「ビジネスプロデュース」を基盤に事業投資と経営ができるDIに転職しました。

 

 

半田様、ありがとうございました。

 


今回は半田様のご経歴としてイベントや空間プロデュースから始まって、秋元様のもとでコンテンツビジネスに従事し、博報堂DYグループやDIへ転職した経緯をお聞きしました。

 

後半では、半田様が注目する業界・業種、会社の見分け方、日本のスタートアップの将来などなど、投資家の半田様だからこその観点でお話を伺いました!

 


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