今回は、「経営管理に、さらなる知見と熱量を。」というスローガンのもと、多数の公認会計士、税理士を擁する、日本発の独立系アカウンティング・ファーム、株式会社AGSコンサルティング(以下、AGSコンサルティング) IPO部門を独占取材。
スタートアップ支援事業部長である公認会計士の青木慶介様にインタビューし、AGSコンサルティングが行うスタートアップ/IPO支援の取り組み内容や強み、サービスに対する想いやスタートアップ業界の今後の展望など、密着取材を行いました。
プロフィール:
大学院在学中に公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)を経て、2014年にAGSコンサルティング入社。入社後は、IT、広告業、人材業、不動産業、飲食業などさまざまな業種におけるIPOを支援。資本政策の策定から内部管理体制の構築・運用、上場審査対応まで、幅広く従事。早稲田大学 大学院会計研究科修了、公認会計士。
目次:
AGSコンサルティングのスタートアップ支援事業部/IPO事業部とは?
まずは青木様の自己紹介をお願いいたします。
新卒で新日本監査法人に入り、東証一部上場の大企業から上場準備中のスタートアップ企業まで、幅広く担当していました。その中でも、上場準備会社との仕事がとても印象的でした。
監査というと、クライアントが作った決算書をチェックしていく仕事が中心ですが、 上場準備会社の支援業務では、クライアントにより近い立場で、会計以外にも内部統制、ガバナンス、そして経営全般に関する仕事ができることに魅力を感じた経験があります。そういった原体験をきっかけに、2014年にAGSコンサルティングに入社し、入社時からIPO事業部に所属しています。
上場準備企業に関わるお仕事の中で、どんな業務が面白いと感じますか?
一般的に上場準備は2、3年程度の時間をかけて、クライアントと一緒に社内体制や上場審査に向けた書面の作成などさまざまなタスクを積み上げて上場に向け進んでいきます。
上場審査のテクニカルな部分ももちろん面白いのですが、 私自身が経営全般に関する興味が強いため、スタートアップ企業が上場企業として成長していく過程を経営陣の側で見ることに面白さを感じています。
AGSコンサルティングはどのような企業でしょうか?
1970年に会計事務所として創業したコンサルティング会社です。 公認会計士と税理士が約100名ずつ在籍し、700名規模の、 いわゆる独立系ファームとしては、大手の部類に属しています。オフィスは自社拠点として全国8ヵ所、海外ではアジアに7ヵ所あり、2023年にはASTHOMというグローバルネットワークを立ち上げ、メンバーファームと提携して、北米・中米・欧州を含む世界13ヵ国にサービスを提供しています。そのため、 世界的に活躍をするクライアントのサポートもできる体制が確立できています。
事業内容としては、会計事務所で行う税務や会計顧問はもちろんのこと、組織再編や事業承継にも携わっています。国際サービスでは、海外に進出する企業の税務や会計のサポート、 内部統制の構築などを行っています。私たちの部署で行うIPOコンサルティングについては、私たちのキラーコンテンツの1つとなっています。
これら以外にも、M&A支援や企業再生支援、人事組織コンサルティングやシステムコンサルティングなども行っており、幅広くクライアントの経営課題に対応しているのが私たちAGSコンサルティングです。
スタートアップ支援事業部/IPO事業部について教えていただけますか?
上場に向けて、事業計画や資本政策の策定から、監査法人による監査を見据えた経理体制の構築、ガバナンスの基礎である規程や内部監査の仕組みの導入、上場審査に向けた上場申請書類の作成、 上場審査対応など、やらなければならないことがたくさんあります(図1参照)。
これだけのことを2、3年ぐらいかけて対応しますが、構築した体制の運用状況や作成した書面の内容は、主幹事証券会社による審査や取引所による審査で確認されます。そこを見据えて、上場審査から逆算して、手戻りなく効率的に体制や書面を作るというところが、上場準備のポイントとなります。
私たちは、毎年、国内の新規上場会社の約4社に1社に関与させていただいていますので、 直近の上場審査や上場準備事例などをもとに、これから上場準備をはじめる会社に、そのエッセンスやノウハウをお伝えすることを大事にして業務に取り組んでいます。
※図1
スタートアップ支援事業部/IPO事業部での青木様の役割や業務について教えていただけますか?
部長職として、スタートアップやこれから上場を目指される会社にお会いして、私たちがお手伝いできる範囲を協議し案件化したり、また現場にて実際にご支援したり、そのほか社外役員として会社の中に入り込んで役員の立場でご支援することもあります。
スタートアップ支援事業部/IPO事業部のメンバー構成などを教えていただけますか?
公認会計士、税理士、金融機関や事業会社の出身者から構成されています。上場準備前のスタートアップ支援を含めて、約45名のメンバーが専門性を生かして対応する部署になります。
これまでのご経験で大変だった案件はありますか?
上場支援していたクライアントが、業績を伸ばされていた一方で、急に市況が悪化し、上場準備どころではなく、資金繰りも厳しくなってしまったことがあります。会社そのものの存続が危ない時期でした。 そういった状況で、経営者と一緒に資金繰りを検討して、コストの削減にも取り組みました。
会社が正常な業績に戻り、かつ上場準備も少し先になったので、AGSコンサルティングとの契約は一旦終了するのかなと思っていたところ、 そのクライアントの経営者から、「顧問として残ってほしい」と、おっしゃっていただけました。
上場準備から事業再生のフェーズに変わってしまいながらも、引き続き必要としてくださったことは私自身もすごく嬉しかったです。また、会計、税務だけではなく、組織や人事、ビジネス全般に関するアドバイスを求められているという立場を改めて理解し、大変ながらも、やりがいを持って業務をさせていただいたという経験があります。
お仕事の中で青木様がこだわっているポイントや気をつけていることはありますか?
自分の業務の枠を狭めないようにするということに、とても気を付けています。
経営者からすると、相談相手が少ない中で私たちを頼っていただいていると考えており、 それに対して「自分は会計士だから会計しか分かりません」ということではなく、AGSコンサルティングには会計以外にも広いセグメントがあり、各セグメントの第一線で活躍しているメンバーに気軽に相談できる体制なので、 仮に自分にない知見だったとしても社内の仲間と相談してチームで考えながら、クライアントの期待に応えるということができます。
今後のサービス展開や、力を入れていく分野について
今後のサービス展開と目指しているものをお伺いできますか?
国策にも掲げられているとおり、これからより魅力的なスタートアップ企業が日本からどんどん出てきます。 一方で、スタートアップ企業では人もお金も、さまざまな課題を解消するためのリソースが足りないという状況があります。
そのような中で、私たちが必要とされる場面はますます多くなっていくと考えています。AGSコンサルティングが過去50年を超える歴史の中でさまざまな企業を支援してきたノウハウを、これから上場を目指していくスタートアップ企業に提供させていただくことで、 最短距離で日本のスタートアップが世界に羽ばたいていけるような、そんな支援ができるといいなと思っています。
さまざまなスタートアップ企業が増えてきている中で、どのような企業様をターゲットにしていますか?
企業成長に向けて、売上を伸ばすことはもちろん重要ですが、その裏側にある、経営管理の強化を大切にしていただけるような会社や課題を感じている会社を、私たちの方でご支援できると嬉しいです。
AGSコンサルティングだからこその強みはなんでしょうか?
社内には、監査法人出身の公認会計士に加えて、証券会社の上場審査部や公開引受部で経験を積んだメンバーが中心となって、実務の現場で支援しています。大手証券会社の公開引受部長や東証の上場審査部長の経験者、日本のVC業界を長年牽引されてきたベンチャーキャピタリストが顧問として、私たちのチームに加わり一丸となってご支援できることが強みです。
また、スタートアップやIPO分野を専門としながらも、支援範囲はこれだけではないというのが、最大の特徴かと思います。 近頃、上場前にM&Aをしたいというご相談が増えています。
AGSコンサルティングにはM&A専門のチームがあります。M&AチームとIPOチームがタッグを組んで、上場審査の観点を持ちつつ、売り手、買い手のマッチングから、買収調査、株価算定、買収後の統合業務まで、全て一貫して完結できることは大きな強みであると考えています。
働く人や環境についてお伺いしていきます!
AGSコンサルティングに入社すると、どのようなスキルを身につけられると思いますか?
AGSコンサルティングを卒業していくメンバーを見ると、スタートアップのCFOで活躍するメンバーもいます。 IPO支援は、裏を返すと上場会社になるための会社作りと同じです。つまり、IPO準備が一通りこなせるということは、上場会社の仕組み作りをできることとほぼ置き換えられますので、こうした経験をもとに、会社の中に入り込んでいくメンバーもいます。
一緒に働いている方や、職場環境に関して、特に良いと感じる点はございますでしょうか。
人間関係が良好で、信頼できるメンバーが多い職場だな、というのが率直な感想です。 コンサル会社と聞くと、いわゆる上下横の繋がりを含め非常にドライで、多くが数年で辞めてしまうような会社を想像しがちですが、AGSコンサルティングはチームで働くことを非常に大事にしており、メンバーのバックグラウンドが多様で年齢もさまざまです。
お互いがプロとして認め合っているからこそ、信頼関係で結びついていると感じます。社内で偉そうに振る舞っている人がいないこともAGSコンサルティングの特徴です 笑
スタートアップ支援事業部/ IPO事業部として、これからより一層力を入れていきたい部分はありますか?
IPO支援に加えて、スタートアップ支援に力を入れています。AGSコンサルティングでは、いわゆるN-2期以降のIPO準備の実務支援だけしているイメージが強いかもしれませんが、実際には上場準備に入る前の、多くのスタートアップ企業にもご利用いただいています。
「IPO準備に入っていないから、AGSコンサルティングに頼むのはまだ早いのでは?」と思われがちではありますが、拡大フェーズに入った会社は、上場準備に入る前から私たちのサービスを活用することで、より短期間で会社を成長させることができますし、これまで蓄積したIPO成功企業のノウハウをもとに、成長をご支援することも可能です。
スタートアップ支援事業部/ IPO事業部は、どんな人が今後来てくれると嬉しいですか?
人が好きという方が第一ですね。クライアントとコミュニケーションを取る仕事ですので、人に興味がある方はもちろん、私たちは、さまざまなサービスにより総合的にクライアントをご支援するファームですから、チームで仕事をするのが好きな方に来ていただけると嬉しいです。上場準備の観点からお話しすると、アドバイスべースでのコンサルティングだけでなく、実際に体制や書面作りをする非常に地道な仕事もありますので、そういった努力を厭わない方であれば向いていると思います。
スタートアップ領域の場合は、スタートアップ企業に元々興味のある方や、スタートアップ支援を通じて、日本や世界を変えていくお手伝いをしたい方、あとは、好奇心旺盛な方だと、めちゃくちゃ面白く一緒に仕事ができると思います。社内には、成長フェーズや業種、業界がさまざまなクライアントがいらっしゃいます。そういったクライアントのビジネスのお話を伺いながら、スタートアップ企業が上場会社になる過程をご支援していくことが仕事なので、ここにも興味を持っていただける方は向いていると感じます。
これからAGSコンサルティングで働く方々にメッセージをいただければと思います!
大げさに聞こえるかもしれませんが、スタートアップやIPO支援を通じて、日本や世界を変えるような仕事を一緒にできたらすごく嬉しいなと思っています。
最後にスタートアップ業界の今後についてお伺いしていきます!
スタートアップ業界は今後どうなっていくと思いますか?
スタートアップ企業の数は間違いなく増え、支援体制も整いつつあると思います。金融機関をはじめ、大企業もスタートアップ支援に積極的に取り組む一方で、専門的な分野、特に上場準備や会計・税務、ガバナンス領域の専門人材が不足しているのが現状です。
このような状況下で、AGSコンサルティングのノウハウが活かせると考えています。スタートアップから大企業まで支援してきた経験を活かし、最短で成長できるようサポートできれば私たちも嬉しいです。
首都圏集中が進むスタートアップにおいて、地方のスタートアップはどのように支援すべきでしょうか?
実は、AGSコンサルティングではスタートアップ支援もIPO支援も、東京だけでなく、拠点のある大阪、名古屋、福岡などを中心に、全国各地で力を入れています。
各拠点にIPOに精通したメンバーを配置し、地域のスタートアップコミュニティとも連携することで、地域に根ざした支援を行っています。例えば、ICCサミットやB Dash Campなどのカンファレンスでは、福岡や京都など全国各地で開催されるイベントに、各拠点のメンバーが参加し、地域に密着した支援を行っています。AGSコンサルティングではスタートアップ企業の支援を通して、地域経済の発展にも貢献しています。
スタートアップの人材不足やその背景についてご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
スタートアップに対する世間の理解が追いついていない点はあり、実際に大企業と比べるとリスクの多い環境ですし、安定を求める職場ではないと思います。 一方で、大企業にはない働きがいや魅力が求職者の方に伝わって、理解が得られるのであれば、多くの優秀な人材がスタートアップに来てくださるのかなと思いますし、大企業も昔はスタートアップだったわけですから、そういった可能性が求職者の方に伝わって、 それを面白いと感じる方がどんどん増えれば、スタートアップ業界の人材も豊富になっていくと考えます。
スタートアップの働きがいや魅力について詳しくお伺いできますでしょうか。
スタートアップは、体制を含めてゼロから構築していくことが大半です。ゼロから作り上げていくことが多い会社だからこそ、大変なことがあっても、それが逆に面白い!と感じていただけるかどうかは非常に重要なポイントかなと。 自分の専門領域もそうですが、もしかしたらCFOキャリアの方が事業サイドに回ることもおかしくない環境だと思うんですね。それさえも面白いと感じていただけるような方はスタートアップで活躍いただけると思います。
最後に、AGSコンサルティングとして、青木様としてのメッセージがあればお願いします!
AGSコンサルティングは、実は東証マザーズができた1999年から、20年超にわたってスタートアップ/IPOを支援しています。多くのスタートアップは、誰に相談したら良いかすらわからない悩みが多いと思います。私たちは、そんな方々にとって身近な存在でありたいと考えているので、まずはお気軽にご相談ください。
AGSコンサルティングは、IPOだけでなくスタートアップ支援にも昔から強みがあるということを、もっと社会に発信できたらと思います!
AGSコンサルティング様の企業情報はこちらをご覧ください。
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